『賭博者』

 オリヴェイラの「家宝」を見た。すばらしかった。構成が見事すぎる。見終わると、とにかくポルトガル・ワインが飲みたくなった。探してみたが、近所で手に入るのはスペインのワインだったので、それで我慢することにする。ちゃんとしたコメントはまた明日以降に書くことにする。
 ワインの酔いが醒めるまで、ドストエフスキーの『賭博者』の続きを読む。最初から異様な人間関係ゆえに引き込まれる話だったが、中盤、モスクワから「お祖母ちゃま」が登場するあたりから、スラップスティックな状況に展開して、さらにおもしろくなる。ルーレットにのめり込む賭博師の狂気が描かれる場面など、異様な熱気が充満している。主人公と彼が恋焦がれるポリーナの関係は、奇怪な心理戦を伴う主従関係で、そのあたり、とてもドストエフスキーらしい。あと、主人公は、カラマーゾフの長兄ドミトリの前身のようにも思えた。
 遅読のわたしにしては、あっというまに読み終えてしまった。