「液晶絵画」展

 国立西洋美術館で開催中の「液晶絵画」展をみにいく。
 映像か写真か、あるいは映像か絵画かの境界上にある作品群。テーマ的にはとても興味がある。
 おもしろかったのはヤン・フードンの作品。中国の地方の農村に生きる人々と、彼らに飼われている犬の姿が複数の画面に映し出されている。犬は飼い犬でもあり、野犬のようでもある。犬たちは群れつどい、小動物の肉を喰らい、病気になり、死んでいく。写真ではこうした題材はよく見るけれど、映像で見ると新鮮に思えた。部屋いっぱいに並んだ画面に囲まれて、荒涼とした風景を同時並行的に追体験していくのは、映像で表現することの意味を感じさせてくれた。
 あとは、まあそれなりに。ビル・ヴィオラはもっとおもしろい作品があるから、ちょっと物足りなかった。ブライアン・イーノは古いけど古典かもしれないし、彼の音楽はだいすきなので、見れてよかった。千住博の作品はきれいで上品な仕上がり。あまり枠を超えるようなインパクトは感じなかったけど。森村泰昌の作品は、テーマパークでよくみるようなセットが余計に陳腐な印象を与えてないか?とかなり疑問。
 このジャンルは、あまりたくさん数をみているわけではないけれど、時間や空間の表現に新鮮な驚きを感じることも多いので、これからも楽しみにしている。

「液晶絵画」展」への2件のフィードバック

  1. bird

    kirynさん、こんばんは。
    液晶絵画展、全く同じ感想でした。ちょっとびっくりです。
    ヤン・フードンが一番印象的でした。。。
    映像と絵画、液晶の可能性など新鮮な風を感じました。

  2. kiryn

    birdさん、こんばんは。
    >ヤン・フードンが一番印象的でした。。。
    birdさんもヤン・フードンに注目されましたか。
    荒々しさがとても印象的でした。あれも急激に変化する中国の一側面なんでしょうね。中国の勢いを感じました。
    映像的絵画、絵画的映像の可能性に関しては、わたしはビル・ヴィオラで開眼でしたよ。
    このジャンルはこれからも、作家のセンスと知性の発揮される作品に出会えることを楽しみにしているんですよ^^

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