三十三間堂

 蓮華王院三十三間堂に立ち寄った。
 観光シーズンではないからか、参拝客の数はそう多くはなく、のんびり拝観できた。
 1000体の仏像が金色の鈍い光を放ちながら、並び立つ。どの地点に立っても視界に収まりきらない。中央の千手観音の前にたつと、左右に広がる仏像に圧倒される。端のほうはかすんでみえない。幾何学的に配置された観音は、どちらに目を遣っても同じように立ち並び、迷路に入り込んだようだ。日常の空間とはあまりにも異質で、足を踏み入れた途端、異空間に放り込まれたような気がする。
 平清盛が造進してから800年間、来迎の光が現代にまで及んでいるのかと思うと、時間の流れが停止しているかのような錯覚に陥る。
 一瞬でありながら永遠、凝縮されていながら無限。無音でありながら荘厳な音色を想像することもできる。インスタレーションとして見ても、圧巻だった。