焼肉

 鶴橋の焼肉屋さんで飲み会だった。
 焼肉は大阪ではポピュラーな料理のはずだけど、わたしは大分大きくなるまで食べたことがなかった。肉料理がキライというわけではなく、食べたら美味しいなあと思うので、別にベジタリアンでもない。ただ育った家で肉料理をほとんど食べなかったせいか、肉に対する欲求があまりないといったところか。そういうわけなので、焼肉屋さんにいっても、お皿やボールに生肉がてんこ盛りになっているのを見ると、けっこうゲンナリしてしまう(食べたら美味しいのは分かっているんだけど)。
 そもそもダイエット中なので、焼肉メニューのなかでローカロリーなのは何かと事前に必死に調べた。キムチ、ナムルなどの野菜はもちろんのこと、肉のなかでは「センマイ」が一番ローカロリーだという。センマイといわれてもなんだかよく分からないし、名前を忘れるといけないので「ゼンマイ」をイメージして覚えておいた。
 でも飲み会の席では鍋奉行ならぬ焼肉奉行のオジサマが、「とりあえずコレ」とかいってセットメニューを人数分頼んでしまう。みんなビールを頼むところを一人だけ赤ワインを注文し、こっそりと例の「センマイ」も注文する。お店の人が何か言ってたのを適当にハイハイといっていると、「生センマイ」というのがきた(生かどうか聞いていたらしい)。
 一見して、正直心の中でめっちゃ後悔した。なんというのでしょう、たとえるならムーミンにでてくるニョロニョロ? こ、これはダメだ、と思い、こっそり網の上にのせたら、周りからいっせいに「焼くんかい!!」とツッコミが入った。だって、だって、、、。
 みなさんよく食べよく飲んでおられたが、何分多少年齢層が上の方々だったせいか、一通り食べたら誰も追加注文しなかった。同世代の連中と飲み食いしていると、最後までしつこく注文するヤツがいるものなので、あれー?てかんじだった。でも御値段はぜんぜん安くなかったので、あそこで終わってくれてよかったわ…。しかも食欲が増進するのか、家にかえっても何か食べたくて仕方なかった。焼肉おそるべし。もう当分いいです。