もうすぐ心斎橋そごうが開店する。チェックすべきはデパ地下のパンやさん。調べてみると、大阪初登場の「ビゴの店」と日本初登場のmoisanというフランスのパンやさんが入る模様(ドンクはもーいいよ、、、)。心斎橋に出かけるのが今から楽しみです。
あと、国立国際美術館の「転換期の作法:ポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリーの現代美術」はぜったい観にいきたい。10月までやっているので、ちょっとのんびりしているけど、機会を逃さないようにしよう。
月別アーカイブ: 2005年8月
沖縄食材
数年前あたりからゴーヤの美味しさに目覚め、毎年夏になって市場価格が安くなったとたん、ゴーヤづくしになる。茄子その他の野菜といっしょに炒めて食べれば、ほんとに美味しい。あと、今年はシークァーサーにもハマった。柑橘類系の香りだけど、初めての香りで、これがまたゴーヤのサラダと合う。甘みがあまり感じられなくて、酸味が強い果実みたいだ。ただ、瓶詰めシークァーサーの市場価格はまちまちである。安いところをがんばって探したほうがいいかも。
気候がますます亜熱帯化しているからか、たんに流通ルートが開拓されたのか、南の食材を簡単に手に入れられるようになってうれしい。食べてもほんとに美味しく感じられる。夏とゴーヤはもう切り離せないなあ。
沖縄ブームを反映してか、あちこちで沖縄物産展をしている。先日は、「黒糖黒胡麻ジャム」なるものを買ってみた。ふつうに黒蜜を買おうと思っていたのだけど、珍しいのでこっちにした。パンにぬると美味しいけど、他の食べ方はないのかと模索中(あまり甘いパンは好きではないので)。寒天に黒蜜の代わりに入れると、おいしかった。蕨もちをつくるときに練りこんで作ってみたら、墓石カラーのどうみても蒟蒻な蕨もちができた。風味も飛んでしまい、これは失敗。バニラアイスにかけると美味しそうなのだが、黒蜜というよりはジャムなので、かけにくい。少し水で溶いて濃度をゆるめようとしたら、墓石色の変な水になってしまった。黒蜜の濃度にしたいのだが、、、そのまま使うしかないみたい。ヨーグルトにも入れてみたが、可もなく不可もなくな味になった。ヨーグルトの酸味といまひとつ合わない気がする。・・・ベストな食べ方を発見する前に、なくなってしまいそうだわ。
あ、今思いついた! 黒蜜と黒糖黒胡麻ジャムを混ぜて溶けばいいんじゃないのかな? しかし今手元に黒蜜はないか・・・(黒砂糖もない)。
映画バトン
MAIさんよりバトンが回ってきたので、試みにやってみます。タルコフスキーの「鏡」とパラジャーノフの「ざくろの色」はMAIさんがすでに挙げられていたので、なかなか外しがたい作品だけれど、今回は外しておいて、、、
1.心に残り続ける映画
、、、これ難しいな、挙げだすとキリがない。ムリヤリ挙げるとすると、
レオス・カラックス「ポーラX」
「汚れた血」も捨てがたいけれど、「ポーラX」のほうが衝撃度が高かったので。画面から漂う不穏な空気は、今思い出しても、胸苦しくなる気がする。
アンドレイ・タルコフスキー「惑星ソラリス」
〈ハリー〉のあの神秘的な形象は忘れがたい。あれは幽玄的な存在だった。レムの原作やソダーバーグのリメイク版との対比ができるのも楽しい。(そういえば、レムのポーランド語版の原作が邦訳されたらしい。ハヤカワ文庫はロシア語版の翻訳で、レムにとっては不本意な削除があると聞いた。その削除部分というのが、学者たちがソラリス学について延々論じる部分なんだそうだけど、、、映画的にはマニアックすぎてウケなさそうな部分だわー)
2.愛する人と見たい映画
リサンドロ・ドゥケ・ナランホ「ローマの奇跡」
ガルシア=マルケス原作の映画化作品。7歳の娘を突然亡くした父が、数年後に墓をあけると、娘が眠ったまま生きていた。父は娘を連れて、ローマ法王に奇跡の認定を求めるためバチカンに赴く、という不思議な物語。奇跡認定の手続きに翻弄される父親の、眠ったままの娘への愛情がとても切ない。
ペドロ・アルモドバル「オール・アバウト・マイ・マザー」
これも、突然息子を亡くした母が主人公。あまりに辛い現実であっても、人と人との関係は新しく作り出されるし、失くしたはずの絆もまた、ゆるやかに、前よりも豊かに結びなおされていくこともあるのだ、と希望を感じさせてくれる。
3、震えたホラー映画
ホラーは見ないです。
代わりにわたしの「お尋ね映画」を書いときます。
ポーランドかどこか東欧の映画で、数学者である父親と息子が登場する。ある冬の日、父は池に張られた氷の硬度を算出し、絶対に割れることはないと太鼓判を押す。父を信頼している息子はその凍った池にスケートをしにいくのだけれど、氷が割れて息子は死んでしまう。父は息子が死んだという「ありえない現実」に直面して、呆然と立ちすくむ、、、という出だしだった。
・・・不条理さと救済がテーマだったのか、続きがとっても気になるのだけれど、あいにく映画のタイトルも監督名も分かりません。誰がご存知であれば教えてください。
4、バトン回す5人
では、nozakiさん、遊民さん、梨子さん、岡田さん、よしふみさんのお名前を挙げておきます。強制じゃないので、メンドくさかったらスルーしてくださいねー。
ビール
治ったり、ぶり返したりだったけど、なんとかおなかの調子も戻ってきた。食べられずに保存していたキムチは、冷蔵庫で相当な匂いを撒き散らしだしたので、もうざっと水洗いして野菜と一緒に炒めて食べた。冬だとキムチ鍋になるところだけど、夏だし、やっぱここはゴーヤでしょう。それでも十分ピリ辛だった。あと、濃ゆい珈琲も心ゆくまで堪能し、ついでにビールも堪能しようといそいそと買いに行く。
最近お気に入りのビールは、断然「プレミアム・モルツ」。ふつうのモルツも好きだけど、プレミアムとついているだけあって、なかなか美味しい。喉の奥でフワ〜と膨らむ香りがいいねー。ドイツで飲んだビールの味を思い出させる銀河高原ビールも大好きなんだけど、あいにく近所では売っていない。本当に残念。近所に売っていたらだいぶ散財していたと思う。モルツはコンビニやスーパーで買えるから、何か買うとしたら、ついついモルツを買ってしまう。
あと今日はKIRINの「ブラウ・マイスター」というビールも買った。まだ飲んでいないけど、ドイツ語がついているので期待大。発泡酒に席巻されつつあるご時世だけど、美味しい国産ビールがもっとたくさん増えますように。
韓国紀行
韓国から帰ってきました。
唐辛子摂取量が極端に多くなったせいか、帰ってきて胃腸を壊した。なかなか治らないのでどうも夏風邪をひいたみたい。頭は痛いし、おなかは痛いし、熱っぽいしで、楽しかったわりには今すっごくブルーです。
旅行は、直前にツアーで申し込んだものだから、ホテルまで送迎付きでラクチンだった。ただ、添乗員に飛行機の離陸時間の4時間前にホテルのフロントで集合といわれて、一緒にいった友人など離陸時間の90分前に空港にいればぜんぜん大丈夫という考え方の人だから、ぶーぶー文句を言っていた。ツアーはラクチンだけど、なんか不自由だよねー、、、やたらと免税店に誘導したがるし。免税店で買うものなんてほとんどないっつーの。といいつつ、お楽しみとして、毎回コスメや香水を自分用に買うけど、ま、小物ですしね(でもネット通販のほうが、免税店より安くなってる! 経済の世界ってふしぎ〜)。
やっぱ買い物が楽しいのは、街中のお店やスーパーマーケットでしょう。今回は韓国の友人と会って、いっしょに買い物について来てもらったので、量り売りのキムチとか細かい注文も全部通訳してもらったので助かった。韓国海苔とか棗のお茶とか焼酎とかキムチラーメンとか、やたらと嵩張るものを買って、ちょっと後悔したけど、、、。あと、キムチがどれだけ密閉しても匂ってくるのはさすが。日本で売っているのとは味の強烈さが違った。
食べ物で美味しかったのは、参鶏湯(サンゲタン)。鶏さんが丸々白いスープに浸かっているのは、ちょっとグロいと思った。でも一口食べると、これまで食べたことのない味で、淡白なのかコクがあるのかよくわからないけど、すごく美味しかった。鶏のおなかに詰まっているもち米や朝鮮人参や栗や棗などを食べていると、代謝の悪いわたしでも汗がにじんできて、量が多いのにいつのまにか全部平らげてしまった。これは薬膳なのね。またどこかでメニューに載っているのを見たら、ぜったい注文したい。
あとは定番で、ビビンパとかカルビとか堪能した。そんなに肉好きでもないわたしだけど、さすがに美味かった。野菜がたっぷりついているのが、日本の焼肉とは違うところかなー。あと時間がなかったから残念だけど、屋台も挑戦してみたかったなあ。
日本と味覚が違うなあと思ったのは、ビールや珈琲がやたら薄いこと。飲み物はアメリカの影響が強いのかな。びっくりしたのは、無理やり見つけて飲んだギネスまで薄かったこと。バカ高かったのでヤラレタ〜という感じだけど、ほんとに薄味が好みみたいだ。そしてお茶とかお菓子はやたらに甘い。日本と同じ商品でも、韓国のものは若干甘い。カルビのあとに出てきたザクロ茶があまりに甘く、肉のあとにこういう甘さがくるとは、意表を衝かれる気分だった。
ほとんど食べ歩き旅行だな・・・そんなだから、今おかゆと梅干の食事なのね・・・。写真は参鶏湯は撮ったけど、あとは全部食べた後に気がつくといういつものパターンで、ほとんど撮ってないし、、、。とりあえず体調悪いので、もう寝ます。
映画レビュー100本記念企画
100本ということで、ちょっとオアソビ。チャート式っぽく、これまで観た映画の傾向と対策など。
【ナショナリティ別で監督のラインナップ】
米:ムーア、リンクレイター、ソダーバーグ、ゴンドリー、ギブソン、マンゴールド、ジョーンズ、ストーン、キューブリック、スピルバーグ、ノートン、サンド、タランティーノ、ツワイゴフ、スミス、ウォシャウスキー、パーカー、ミッチェル、ズウィック、ファレリー
独:ヘルツォーク、ファスビンダー、ベンダース、ムルナウ、ヒルシュビーゲル、ストローブ=ユイレ、ティクヴァ、アドロン、ヴェンダース、ラング
伊:ベルッチ、ビスコンティ、タヴィアーニ、アントニオーニ、ロージ、ゼフィレッリ、グリッフィ、フェリーニ
仏:ルコント、ロメール、カラックス、ポランスキー、ゴダール、レネ、ラブノー、ベルリネール、アノー
英:ウィンターボトム、カニエフスカ、ポッター、ギリアム、ハドソン、フリアーズ
露:タルコフスキー、シャフナザーロフ、パラジャーノフ(グルジア)
(旧)ユーゴスラヴィア:クストリッツア、ケノヴィッチ、シヤン
西班牙:アルモドバル
葡萄牙:オリヴェイラ
波蘭:ホランド
丁抹:トリアー
豪州:カンビス、カンピオン
瑞典:ハルド
越南:トラン・ユン・アン
印度:ラヴィクマール
コロンビア:ナランホ
中国:王家衛、陳可辛
韓国:クァク・ジェヨン
日本:鈴木清純、蜷川幸雄、黒澤明、是枝裕和、森田芳光
ナショナリティなのか映画の製作地なのかブレるけれど(パーシー・アドロンはドイツ人だけどアメリカで製作しているとか、ストローヴとユイレはフランス人だけどドイツで製作しているとか)、切りがないし、ワケが分からなくなってきたので、適当に大まかに放り込みました。
こうしてみると、北米・欧州の映画に偏った見方をしているなあ。それも市場ルートにのってくるものがほとんどだから、アメリカの大学とかでひっそり上映しているような映画とか、観たくても観られないのも多い。たまに美術館で「ウォーター・メロン・ウーマン」みたいな映画を上映してくれたりするけど、、、よっぽどアンテナをはっておかないと見逃すことも多い(てゆーか、見逃してる)。マイナーな映画はなかなか観る機会がなくて残念です。
【レヴューを書くつもりで観たけど書けなかった映画】
・キューブリック「時計仕掛けのオレンジ」
・クストリッツァ「アンダーグラウンド」
これ双璧ですね。書けない! あとは、
・坂本順治「この世の外へ クラブ進駐軍」
・田壮壮「春の惑い」
などでしょうか。
こちらは書きそびれた感があります。「春の惑い」の中国語「美しき青きドナウ」の場面はすばらしかったです。
【昔見たけど、もう一度みたい映画】
・タヴィアーニの「カオス・シチリア物語」
・ヴィクトル・エリセの「ミツバチのささやき」や「エル・スール」
・鈴木清順の「ツィゴイネルワイゼン」ほか
・ルイ・マルの「地下鉄のザジ」
・ベルトルッチの「ラスト・エンペラー」とか「暗殺の森」
・張芸謀や李孝賢の映画…etc.王家衛の「ブエノスアイレス」もう一度観たい!
ここにあげた映画は、印象的な場面がいくつも記憶に残っているもの。「エル・スール」では、バールで父親が手紙を書いているところを、娘がそっとガラス窓の外からのぞくシーンとか、「ミツバチのささやき」のアナ・トレントが現実と夢の区別がつかず、熱をおびてうなされているシーンとか、「暗殺の森」のダンス・シーンとか、「カオス・シチリア物語」の青い空と白い砂浜のシーンとか。あげていくと切りがないですね。
【観たけどコメント書くほどでもなかったという映画】
ウォシャウスキー「マトリックス」
大島渚「御法度」
ま、ほかにもいろいろ・・・。
【これからどんな映画が観たいか】
・まず、ロシア圏、東欧圏の映画をもっと観たい。
・南米の映画もいいです。「赤い薔薇ソースの伝説」とか「ラテン・アメリカ/光と影の詩」、印象的でした。棺おけが洪水で遺族のもとに流れてくるとか、不思議な映像だった。
・あと日本の映画、意外と観てないのよね。小津とか黒沢とか溝口とか、一時期がんばって見た覚えはあるのだが、、、。日本映画の日本語を聞いていると、なじみのない言葉のように聞こえてくるから不思議だ。最近の日本映画も観るべきでしょうねー。日本にかぎらず、中国語圏・韓国の映画も観ていこう!勢いあるしね。
・イスラム圏、アフリカ大陸は皆無ですね。この辺の映画はほんとに知らない。開拓の余地あり? あ、イランのキアロスタミあたりの映画ならいくつか観れるのか。
傾向と対策になっているのかな? 観るものが多くて選ぶのも大変です。ともあれ、ちょっと一息。わたしは明日からソウルに行ってきます!数日で帰ってくるので、次はコリア・レポートの予定。
映画&お買い物
昨日は一日中雷が鳴っていて、不安定な天候だった。今日は一変していい天気だけど、暑いー。
無理やり時間を作って、「ヒトラー、最後の12日間」を観てきた。映画館混み混みで、立ち見になってしまった。人気あるんだなーこの映画。前のほうに陣取って座って観た。3時間近くあったのでおしりが痛くなったけど、据わり観でもけっこうちゃんと観れた。いざというときのための簡易クッションとかあるといいなあ。映画館、用意してくれないかな? ふつうにパイプ椅子とかさー。
というわけで、記念すべき映画100本目はドイツ映画の「ヒトラー」でした。政治色の強い映画が続いているねー。
映画のあとはお買い物。わたしってほんとスーツが似合わない。体にボリュームがないせいか、スーツに着られてしまう。試着した姿が悲惨すぎる。店員のほめ言葉に惑わされずに、ちゃんと「似合ってない」と判断できる自分はエライわ、、、。結局、いろいろお店をはしごして、かちっとしたシャツを買った。胸元でリボンを結ぶから華やか感もあるし、なかなかいいと思う。何買うにしても、サイズにはいつも苦労させられるなあ。
ヒトラー、最後の12日間
Der Untergang
2004年、独
監督:オリバー・ヒルシュビーゲル
出演:ブルーノ・ガンツ
アレクサンドラ・マリア・ララ
コリンナ・ハルフォーフ
第三帝国の終焉をヒトラーを中心に描いた作品。昨年ドイツで公開されて、かなりの動員数を記録したと聞いて、日本で公開されたらぜったい観にいこうと思っていた。
1945年4月下旬、ソ連軍の砲弾を至近距離で浴びせられ、瓦礫の山と化していく陥落寸前のベルリン。被弾するつど映画館も地鳴りし、物語りが進む間も背後で爆音が響き続けることに、最初、不安な気分にさらされた。ただ、1時間も見ていくと、次第にそうした状況にも身体が慣れていくのが分かった。もちろん、映像と音声だけの体験だから、慣れといっても映画的な慣れでしかない。現実はそんなものではないのだろうと思いたいけれど、たとえ現実であったとしても、人間は異様な状態に慣れていくものかもしれない。慣れというより麻痺に近い。どれほど悲惨で醜悪で異様な事態であっても、それが長引けば、最初のショック状態からなんとか回復して、思考回路を閉ざして、生き延びるために身体は勝手に現状に適応しようとするのだろう。
映画では、司令部にいる人間の思考回路の麻痺と状況打開不可能なまでの硬直性が描かれる。権力者の気宇壮大な妄想が決断の根拠になるため、司令部からは実行不可能な命令が下されるばかりで、指令系統は事実上崩壊している。何一つ状況は打開せず、無駄に死者の数を増やすだけという目を覆いたくなるような状況が露呈する。冷静にやるべきことをやろうとする軍人たちが出てくるにせよ、SSは赤狩りと称して民間人をリンチ殺害していくし、司令部にいる人間は乱痴気騒ぎやアルコールに浸っているし、その間も容赦なく爆弾は人間を殺していく。もはや手の施しようのない現状とおそるべき精神の荒廃状況とが、被弾音の地響きのなかで描かれる。
この映画の「人間ヒトラーを描いた」という振れ込みも、あまり好意的に表面的に受け取るべきではないと思う(ヒトラーの「人間臭さ」なるものは、描くことがタブーだったかもしれないが、描くこと自体は難しいことではないだろう。その先に何を読み取るか、が問題だと思う)。映画界では悪の記号として、ときには戯画化された形でしかナチズムは扱われてこなかった。その点、この映画は単なる「悪の記号」ではないナチズムを描いている。何を読み取るかは人それぞれ多様であろうが、わたし自身は、滑稽で滅茶苦茶で悪夢的な状況に翻弄される個々の人間たちが、その状況のなかで思考回路も精神も麻痺させて生き延びることはできても、「目を開く」ことはいかに難しいことであるかという問いが突きつけられているように思った。
実在の人物だという主人公の秘書ユンゲの「純粋さ」、もしくは思考回路の凍結状態はとてもリアルだ。最後に年老いたユンゲ自身がでてきて、次のように告白する。ナチスがユダヤ人に対してやったことを聞いて慄然とした、でもわたしは長い間、ヒトラーの秘書だった自分とその出来事を結び付けることができなかった、と(重要な場面だと思うのだが、「付け足し」感が強く、映画の内容とリンクしきれていないのが残念)。一人一人の人間は誠実で、忠誠心も高く、それなりの良心ももつ普通の人間で、悪魔や野獣のような存在であるわけではない。ただ、自分自身の人生の軌跡と、組織的な殺戮も含めての大量の人間の死という事実を、直接の被害者ではない大半の人間は重ね合わせることができない。自分の責任として引き受けることができない。いやむしろそれ以前に、理解できない。ユンゲのように。そしてわたし自身も含めて、大半の人間がそうなのだと思う。
派手な作りである分衝撃的な印象はあるが、見る人によって評価が分散するだろうし、けっして分かりやすい映画ではない。骨太な作りではあるが、やりきれない思いが残る作品でもあった。
(7.aug.2005)
この映画のコメントはこちらに続きます。
for myself 4
you don’t think what you could’t do.
you should reflect back on your accomplishment and accumulation.
映画評&避暑
「家宝」の映画評を挙げておきます。ストーリーは今回は端折りました。こういう映画は手に負えないなー。思ったことの全部が書ききれない。
今日で7月も終わり。蒸し暑い日々が続くけど、今週半ばは、避暑地でリフレッシュしてきた。アスファルトと排気ガスに囲まれた日常を脱して、山の空気を吸ってきた。山頂では蜩が鳴いているし、気温も涼しいし、なんともいえない心地よさ。
ヘッセの『青春は美し』を持っていって読んだ。旅先でヘッセを読むのはけっこういいなと思った。