映画感想

 『誰も知らない』の感想のっけときます。
 毎度のことだけど、映画を見ているときはダイレクトに感情がゆさぶられるから、涙ボロボロになることが多い。だからいつもハンカチは多目にもっていく。コメント書くときは頭を冷やして書いていることが多いので、自分でも意外なくらい渋めなコメントになったりする。この映画もそんなかんじだ。自分で読み直しても、ひねくれた文章ね、、、。

映画感想」への15件のフィードバック

  1. 岡田

    kirynさんがコメントを書いてるのを知り観に行くことを決意する。
    『誰も知らない』と『華氏911』は超気になるけどなんかブームになってて腰が引けてたんですけど、観てきます。そしてkirynさんのコメント読んでなにか書けるようだったら僕もコメントしますね。
    kirynさんの批評は、もちろん批評だから書くスタイル的にどうしても構えなきゃならなくなってしまうんだろうと思うけど、映画を観ているときは感情的になるんですね。
    これは僕もそうだと思うんです。
    そしてその感情をダイレクトに反映させた文章も同じくらい書いてみたいなって。主観と客観を上手くバランス取りたいです。
    でもkirynさんもそうなんだなってのが知れてちょっとコメントに対する印象が変わるかもしれません。
    おお、ますます映画観るのが楽しみになってきた!

  2. kiryn

    岡田さん、こんにちは。
    この映画は別に見るつもりはぜんぜんなかったのですが、友人に誘われて見にいきました。そりゃ賞をとっていたのは知っていたけど、そんなにブームになってるとは思わなかったよー。映画館混んでてびっくりしました。次の回にまわされちゃったよ。
    映画を観た直後はちょっと脱力感があって、友人とは、思いつくままいろんなこと喋ってました。それこそ感情的なことまでふくめて。友人のほうがシビアな意見だったかなー、大人が子供の世界を代弁することがどこまで可能か、とかなんとか。
    岡田さんのコメント楽しみにしてます!

  3. 岡田

    「誰も知らない」観てきました。
    映画を観ている最中にたくさん首を捻るような映画でしたね。
    ところどころでいろいろ考えました。
    最初は構えて観てたので演出とかカット割とか技術的なところに目がいってしまい物語りに没入できなかったのですが、だんだんそれもなくなり、お母さんが出て行きそうになるあたりから普通に話を追ってました。
    しかし、今考えると登場人物の誰に感情移入するでもなく、取り残された子どもたちの行動の様子を、生活の移り変わりをただただ観察している自分がいただけのような気がします。
    そして次男のあどけない様子と現実の悲惨さのギャップに困惑したり、
    こういう音楽にのせてこういう場面を描いたのはどういうふうに見せたかったのかなとか、人はどういうふうに見るのかなとか。こういうふうに人に映ってたら嫌だなとか。
    そういうことを考えました。
    母親もいなくなり時間が経過し、子どもたちの生活が乱れはじめたころからどういう方向へ進んでいくのか多少なりとも予想できたため、それからはどうやって終わらせるのか、そればかりが気になってしまいました。なので最後の方はいくぶんだれました。
    そして終わったのですよね。
    やはり最後にきちんと事件が用意されていて。
    しかしそれでも、その事件が発端になり彼らの生活がなんら変わることなく(変わる前に)、映画は終わる。
    彼らの心にその事件の影響は陰を落としつつも。
    そういったことから、監督の姿勢なんかは感じられるのかなと思いました。
    しかし、映画を観ている最中の僕の考えの流れはこんな感じだったのですが、正直なんか物足りない、むしろなにも驚くべきところがなかったというのが率直な感想です。
    kirynさんの書いている文章を読んでその理由がより明確になったのですが、なんか実際の事件を想像すると生ぬるいというか、もっと複雑で悲惨で人間的な闇の部分が隠されていて、偏った部分だけ見せられているような、きれいに描かれているような気がしました。
    あの状況だったら、やはり虐待とか起きるんだろうなと思いました。
    でも、それでもあれ(映画)が真実でないかと問われれば、それはわからないですよね。ああいうふうになっていたことも考えられる。可能性はある。言わばどんなことでも起こりうるのだから。
    そう考えると、僕が求めていたものと監督が差し出した物語が違ったと考えた方が、僕はすっきりするような気がしました。僕はもっとぐちゃぐちゃした、においのあるような物語が見たかった。それがまして子どもなら、より不可解で不条理な人間性が垣間見られるんじゃないかと。そういう点で、不満足というか、期待外れでした。
    そして突拍子もないことなんですが、同じ事件を題材にしてトリアーなんかが話をつくったら、あんなんじゃすまされないよなと想像し、わくわくしました。
    自分がなぜそういう物語を求めているのかが謎なのですが、そこに監督といわば自分の、人間観というかリアリティーの持つ意味の違いがでて面白かったです。

  4. kiryn

    岡田さーん、すごい長文ありがとう!感動してます。
    映画をみている最中は、わたしよりずっとドライに見ていたようですね。一読すると、岡田さんはやっぱり映画を作っている人の目で見ているんですね。監督との人間観やリアリティのもつ意味の違いとかに思い馳せるあたり、「自分ならどう撮るか」ということを意識されているんだなあと思いました。それに比べるとわたしなんてお気楽なものよね。
    わたしがコメント書いたときは、「自分が予想していた物語」と「監督が提示した物語」の差をまだうまく捉えきれてなくて、あれを書いたあとにもちょっと感想がかわってきましたね。
    多分映画の構成とか構想自体にかかわってくるんだろうけれど、「監督の人間観やリアリティのもつ意味」や「監督の姿勢」そのものに、わたしは共感するものが少ないんだろうなと思うようになっています。
    岡田さんが書かれているように、彼らの生活が変わる前に映画が終わってしまうこと、「もっと複雑で悲惨で人間的な闇の部分が隠されていて、偏った部分だけ見せられているような、きれいに描かれている」こと、こうしたことがトータルでみて何を表現してしまっているのか、が気になるわけです。
    この映画って、映画がすすめばすすむほど、あの長男の内面に光があてられていきますよね。それが監督の意図でもあったようだし、その意味では成功しているとは思います。外界とのつながりが切り離されていって、どこまでも孤独を抱えた透明な内面がクローズアップされていくんですよね。事件そのものや貧困という問題は、むしろ彼の内面に焦点をあてるための手段でしかないと判断すべきなんでしょう。わたしは事件との関わりを描くものと予想していただけに、自分の思いこみと映画で表現されたこととのズレを、自分のなかで修正しなくてはいけなかったんですよね。
    ただ、こういう内面の孤独のようなものを描くという手法は、個人的には辟易しています。同じ事件をトリアーが作ったらあんなのではすまないよな、という感想、同感です。わたしも同じこと思ったよ。まあ、トリアーは食えないオッサンだから、わたしごときが彼の作品にどれだけ文句いおうと、びくともしないふてぶてしさがあるよね。是枝監督のはなんか繊細で、あまりキツイこといっちゃいけないかなーとか思わせてしまう、、、。
    トリアーより比較の対象としてよいのは、ブリュノ・デユモン監督かも。わたしは「ユマニテ」しか見ていないのですが、あれもとても孤独で繊細で内面に閉じこもってしまう主人公を扱いながら、いやおうなく、外界の残酷さや悲惨さや不条理さを浴びせかけられるものでした。何かが決定的にちがう、と思います。

  5. 岡田

    kirynさんこちらこそコメントありがとございます。
    kirynさんの文章はとてもわかりやすいです。kirynさんが映画の印象をどう言葉に置き換え、それを組み立て、文章にしたのか。その過程が整理されてわかりやすい文章のなかにきちんと含まれているので、理解して逆に言葉を投げかける行為がやりやすいのです。
    kirynさんの云うとおり、序盤は母親と子どもたち、子どもたち同士、子どもたちと外の人間と、「関係」が描かれていました。そしてそこから社会と彼らの関係、彼らの居場所のようなものが浮き上がってきたんだと思います。
    しかし終盤では、長男の内面に焦点が絞られていくのですよね。
    そしてそうすることによりそれぞれの「関係性」というものが取り除かれていく。
    やはり僕は実際の事件をモチーフにしていること、ドキュメンタリー的な手法を用いていることなどから、こういったふうに文学的になるのではなく、この物語と実際にあった事件が均衡するような、もっと客観的な「関係性」が見えるような映画の方がおもしろかったんじゃないかと思いました。
    是枝さんは、もっとジャーナリスティック的なアプローチをする人だと僕は考えていました。
    そういう意味でドキュメンタリー的な映画としては、kirynさんも言うように実際の事件に食い込むだけの図太さの欠ける貧弱さが目立つし、フィクションの映画としてはストーリーが生ぬるくて凡庸だな、という全体的な印象です。
    「ユマニテ」、観てみます。
    何かが決定的に違う。
    楽しみです。
    薦めていただいてありがとうございます。

  6. kiryn

    こんにちは、岡田さん。
    わたしは是枝監督の映画はこれが初めてでした。どういう作風の人かとか全然知らないまま見て感想を書いています。これまでの彼の作品とかちゃんと見ている人からみると、また別の側面もみえてくるのかもしれませんね。でも、岡田さんとだいたい同じような感想だと思うのですが、世間的には(?)評判がすごく高いので、なんか自分の見方ってひねくれてるのかなあと心もとなくなってきますね。
    こどもたちに焦点をあてるだけの読みは、もっと複雑で解き難い何かを見落としてしまう気がするんだけどなあ・・・。ま、ネットの片隅でブツブツゆってます。レスありがとねー。
    わたしもトリアー見たいとずっと思ってんだけど、気合がいるというか覚悟がいるというか、、、でもそのうちみるわ絶対。

  7. 岡田

    kirynさん、僕がしている共同生活のブログがあって、そこでも何人かと議論のようなものをしたんでもし興味があったら読んでみてください。
    なかなかおもしろいものになったと思いますよ(kirynさんとのやり取りと平行して書いてるからずいぶん影響されてるのがわかります)。
    ではでは、「ユマニテ」観たらまた厚かましくも性懲りもなく感想書きにきますね。

  8. kiryn

    岡田さん、こんにちは。
    岡田さんちのブログの紹介ありがとう。そちらもすごくレスが長く続いているようですね。共同生活者によるブログ? コンセプト、おもしろいですね。
    「ユマニテ」、観るとけっこう落ち込みます。お気をつけて。もしコメント書いてくださるのであれば、この続きにでも遠慮なく書いてくださいね(bbsだとレスが続かないし)。

  9. kiryn

    松亭ウェブログを読ませて頂いて、岡田さんが「ポーラX」のはなしをもちだしてくれていたのにびっくりしました。きっかけはこの映画だったのね。
    じつは「ポーラX」のレヴューはわたし自身もとても気に入っています。あまりないことですが。だいぶ前に書いていた映画評は大部分削除したのですが、「ポーラ」は残しています。この映画について人と話した記憶ってほとんどないので、うれしかったです。
    そちらに書き込むべきか迷ったけど、あまりに個人的な話で、趣旨にそぐわないかなあと思ったので、こちらに。ひっそりとレス。

  10. 岡田

    そうなんですか、kirynさん自信も「ポーラ」のレヴューは気に入ってらっしゃるんですね。
    そうなんですよ、このサイトを知るきっかけはこの映画だったんです。そのときは「ポーラ」の話はしなかったと思います。「汚れた血」も僕はユーモアがあって映像も不思議でとても好きなんですが、kirynはとても個人的な感情とリンクしていて、今となってはあのとき書いたように感想を語れない、というようなことをおっしゃっていたと記憶しています。
    「ポンヌフ」は個人的には好きな世界なんですが、これは好きって単純にいってしまうことになぜか違和感を覚える映画です。すごい監督の自我が押し出してる映画ですよね。
    「ユマニテ」観ました。
    深い悲しみ(自分でもどう処理していいのかわからないだろう)に囚われている主人公が、なんとなしにふと見つめてしまう景色が映し出され、とくにそれが特別なにかの意味を語っているわけではないのだと思いますが、僕はやけにその風景が目に焼きついています。
    彼の行動もしぐさも表情も、僕にはなんら処理されずそのままのイメージとして残っています。
    そして映画を観ている最中、あとで自分でも処理しきれていない感情や記憶がふらっと蘇ったりしました。
    なんだか何も考えれず、結論を保留したままただただ見つめてします(見つめるしかない)映画ですよね。あまり観たことのないタイプの不思議な感覚の映画でした。

  11. kiryn

    岡田さん、こんにちは。
    カラックスはわたしの好きな監督の一人ですね。でも「ポン・ヌフ」についてはあまり印象に残っていません。ジュリエットとドニの姿が断片的に記憶に残っていますが。あまり気に入らなかったんでしょうね。監督の自我が出すぎている、というのもそうかもしれません。
    「ユマニテ」、ごらんになったのね。「見つめるしかない映画」というのはほんとにそのとおりだと思います。ファラオンもただ見つめているだけだし、ほんとに寡黙な映画だと思います。でもその沈殿していきそうな寡黙さが、時折、航空機の爆音などによって断ち切られるんですよね。いやおうなく外界に引き戻されて、救いようのない現実をつきつけられてしまう。悲惨さというものは本質的に言語化できない部分をもっているけれど、これはそういう部分に触れているような映画だったと思います。シンクロしすぎてちょっと辛い映画でした。

  12. kiryn

    はじめまして、こうじさん。書き込みありがとうございます。
    「映画映画した」映画、、、「誰も知らない」のことですよね(映画のタイトルがたくさん出てきているので、ちょっとごっちゃになっています、間違っていたらごめんなさい)。たしかに饒舌な作品ではなく、淡々と時間が流れていく感はありました。映画の内容そのものには納得いくものはなかったのですが、こういう映画もあるんだなあという印象は残っています。

  13. kiryn

    あ、やっぱりそうですよね。まちがってなくてよかったです^−^。

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